内視鏡手術・腹腔鏡手術について
内視鏡外科手術・腹腔鏡手術って?
内視鏡とは映像を映すことのできる機材(ビデオカメラなど)と光を出す機材(ライト)を組み合わせて体の内部などを観察する機器とされます。内視鏡と聞いて一番イメージが強いのは消化管内視鏡(=胃カメラ)でしょう。多くの人は内視鏡といわれると胃カメラを頭に思い浮かべると思います。確かに、胃カメラも内視鏡の代表的な一つではあります。これらの内視鏡は、一般的には軟らかいファイバーで出来ているので軟性内視鏡と呼ばれています。
しかし、内視鏡外科と言われる分野で使われる内視鏡は硬性内視鏡とよばれ、直径3-10mm程の円柱状の硬いカメラになっています。これらの硬性内視鏡はスコープと呼ばれるレンズに似た構造とビデオカメラ部分と一緒に使用することで初めて機能します。イメージはしにくいかもしれませんが、いわゆる胃カメラ(消化管内視鏡)とは構造が異なるのです。
主な内視鏡の種類
内視鏡には軟性内視鏡(=ファイバー)と硬性内視鏡(=スコープ)があります。それぞれにはいくつかの種類に分かれています。しかし、これらは人用のものであり全てが動物で行える訳ではありません。
※ 左の図は人用の内視鏡です。
腹腔鏡システムの1例
腹腔鏡手術に用いるシステムはいくつかの部分に分かれています。
画面であるモニター、光を発生する光源システム、カメラを繋げるビデオコンソール(カメラシステム)、お腹に炭酸ガスを送る気腹装置などがあります。これら意外にも多くの医療用機器を必要とします。
※ 右のシステムは一つの例です。これ以外にもたくさんの種類が発売されています。
腹腔鏡手術の方法
実際に腹腔鏡手術を行う際にはお腹に数ミリ(3-10mm)の小さな傷穴をつけ、そこからトロッカーと呼ばれるデバイスを入れます。これは後にその穴から鉗子(かんし)と呼ばれる手術器具を入れるのを助ける役割を持っています。そしてその穴から炭酸ガス(二酸化炭素)を体内にいれることでお腹を空気で膨らませます。そうすることで初めてお腹の中で手術が出来るようになるのです。
※ 左の図は手術の時のイメージです
手術の道具
実際の手術は右にあるような鉗子(かんし)と呼ばれる器具を使って行います。イメージとすればマジックハンドのような器具で手元で操作をするとお腹の中にある先端が動く仕組みになっています。鉗子にはいろいろな種類があり、物を掴んだり、切ったり、つまんだりと様々なタイプの道具を使って手術を行います。
※ 右の鉗子は一つの例です。これ以外にもたくさんの種類が発売されています。
実際の手術風景
左の写真は実際に手術をしている場面です。手術をする人(術者)も助手、麻酔係も全て前にあるモニターも見ています。画面にはお腹の中の状態が映されており、手術に関わる全てが同じ光景を見ながら手術をすることが出来ます。小さな動物であっても、モニターに映し出される光景は拡大されており、通常であれば見にくい場所であっても細かく見ることができるのです。
当院で対応している内視鏡外科手術
腹腔鏡手術
組織生検手術
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肝生検・腎生検・膵生検・脾生検
腸生検・リンパ節生検
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避妊・去勢手術
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卵巣摘出術・卵巣子宮摘出術
潜在精巣(陰睾)摘出術
※ 適応症は個別に異なります。 |
病的腹腔鏡手術
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脾臓摘出術
胆嚢摘出術
副腎摘出術
腎臓摘出術
肝臓部分摘出術
膵臓部分摘出術
※ 適応症は個別に異なります。 |
腹腔鏡補助手術
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膀胱結石摘出術
消化管内異物摘出術
門脈体循環シャント結紮術
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その他
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予防的胃固定術
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胸腔鏡手術
組織生検手術
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肺生検
胸腔内リンパ節生検
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胸腔鏡手術
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肺葉摘出
心膜切除術
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その他
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乳び管結紮術(乳び胸)
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それぞれの治療や適応など、ご質問がありましたら診察時にご質問ください。